静岡県警本部で行われた犯罪被害者支援に関する協議会には、警察や関連機関の関係者約56人が参加しました。この協議会では、犯罪被害者の支援を強化するための連携について話し合われました。全国被害者支援ネットワークの顧問である安田高彦氏が講師として招かれ、参加者は彼の講演に耳を傾けました。
安田氏は、現代社会においても犯罪の被害から完全に無縁でいることは難しいと指摘しました。犯罪被害者とは、犯罪や交通事故の被害に遭った人々やその遺族のことを指し、静岡県内でも多くの人々が支援を必要としています。
静岡犯罪被害者支援センターは、そのような被害者や遺族への相談窓口として機能しています。2023年度には491件の相談があり、特に性的犯罪に関する相談が増加しています。センターでは、カウンセリングや捜査機関への同行、裁判のサポートなど、多岐にわたる支援が行われています。
また、昨年4月には県内の全ての市町で犯罪被害者支援に関する条例が制定され、見舞金制度が設けられました。しかし、自治体によって支給金額や条件が異なるため、依然として課題が残っています。被害者の多くが直面する経済的な問題も大きく、引っ越しや仕事を辞めなければならないケースもあります。
さらに、犯罪被害者支援の認知度向上も重要な課題です。静岡大学では、教育学部の学生を対象に講義が行われ、犯罪被害者が直面する現実や心理的状況について説明されました。学生たちは、このような被害者支援が社会にとってどれほど重要であるかを理解する機会を得ました。
静岡犯罪被害者支援センターの理事長である高一弁護士は、被害者が必要とする支援を確実に届けることの重要性を強調しました。彼は、被害者が受けた被害の回復を求める声を国に届けるべきだと訴えています。加害者が賠償金を支払えない場合、国が立て替えて支払う制度が必要だとしています。
犯罪被害は、いつどこで発生するか分からないため、社会全体で理解と支援の輪を広げることが求められています。