インドネシアの高速鉄道プロジェクトにおいて、日本と中国の競争が織りなす複雑な物語が展開されている。インドネシア政府は、ジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道計画において、当初日本と中国からの支援を受けることを検討した。しかし、最終的には中国を選択した結果、難題が浮上している。
2014年に就任したインドネシアの女子大統領は、インフラ整備の一環として高速鉄道プロジェクトを立ち上げた。彼女は日本と中国に対して支援を要請し、両国からの提案を受けた。しかし、日本の報告書が採算面での問題を指摘する一方、中国は迅速に報告書を提出し、低コストを提示した。この結果、インドネシア政府は中国にプロジェクトの発注を決定した。
プロジェクトは2016年に着工されたが、土地収容の遅れや建設許可の問題が続出した。中国側からの進捗要求もあり、インドネシア政府は苦しんだ。最終的に、資金供給が始まったのは着工から2年半後の2018年であり、その後も新型コロナウイルスの影響で工事が中断されるなどの困難が続いた。
プロジェクトのコストは当初の55億ドルから7580億ドルに膨れ上がる見込みであり、インドネシアの国営企業は巨額の負担を強いられることになった。これにより、インドネシア政府は多額の外債務を抱えるリスクに直面している。また、既存の鉄道路線と競合するため、運賃収入も不安視されている。
さらに、インドネシアは新たな首都移転計画を進めており、その関連で日本に協力を求めるも、日本は慎重な姿勢を崩さない。内閣広報官は、技術統合に伴うリスクを指摘し、信用重視の国民性が影響を及ぼしていると述べた。
このような背景の中、インドネシアに対する外国からの投資は求められており、女子大統領は2024年の任期満了を前に、開発の継続ができるかが注目されている。資金不足の懸念が高まる中、インドネシアは持続可能な開発のために、国内外の投資を呼びかけている。
この複雑な状況は、インドネシアが国際的な舞台でどのように立ち回るのか、また日本と中国の関係にどのような影響を及ぼすのか、今後の動向が注目される。