「日本に帰ると地獄が待っていると思えるほど豊か」感謝も謝罪もナシ…離婚と結婚を繰り返す『常識が違いすぎる民族』の実態とは?将来を考えない生き方、そして現代の生きづらさの正体、幸せとは何か?
日本の人類学者である奥野克己教授が、ボルネオ島の狩猟民プナンに関する興味深い研究を発表しました。彼は、プナンの人々が持つアニミズム的な世界観や、現代社会との接点について考察しています。アニミズムとは、動物や自然に人格を認め、共存する考え方であり、プナンの人々はこの考え方を基に生活しています。
奥野教授は、プナンの人々が結婚や離婚を頻繁に繰り返す文化についても触れています。彼らの結婚観は、日本の伝統的な結婚観とは異なり、パートナーとの関係が短期間で変化することが一般的です。このような流動的な関係性は、彼らの共同体の中で自然に受け入れられています。また、子供は実親に所属するのではなく、共同体全体で育てられる「アロペアレンティング」というスタイルが根付いています。
さらに、プナンの人々は、現代的なテクノロジーを受け入れつつも、独自の生活様式を保っています。スマートフォンが普及し、彼らの生活は一変しましたが、基本的な価値観には変わりがありません。例えば、獲物を獲った際には、それを共同で分け合う「シェアリングエコノミー」が重要視されています。このような文化では、未来を考えることが少なく、現在の瞬間を重視した生活が営まれています。
奥野教授は、プナンの人々が抱える生きづらさについても言及しました。彼らは、外部からの影響や経済的な変化に直面しながらも、コミュニティの中での平等を重視し、助け合いながら生活しています。暴力やうつ病がほとんど見られない環境は、彼らの文化がもたらす一つの成果とも言えるでしょう。
しかし、現代社会との接点が増える中で、プナンの人々は新たな課題にも直面しています。コロナウイルスの影響で彼らの生活様式にも変化が訪れ、スマートフォンの普及は新たな情報の流入を促進しました。この変化が、彼らの伝統的な価値観や生活様式にどのような影響を及ぼすのか、今後の研究が注目されます。
奥野教授は、プナンの人々の生活から学ぶことが多いとし、彼らの生活スタイルが現代社会の豊かさとは何かを再考させる契機になると述べています。日本に帰国する際に「地獄が待っている」と感じるほど、彼らの生活は豊かで、互いに支え合うコミュニティの重要性を示しています。今後、彼らの文化と現代社会の関係について、さらなる理解が深まることが期待されます。