国産ウイスキーの価格が急落している背景には、さまざまな経済的要因が絡んでいます。日本経済新聞の解説委員である村野高さんをゲストに迎えた最近の番組では、この現象について詳しく解説されました。
国産ウイスキーの代表的なブランドとしては、サントリーの「山崎」や「響」、そして「白州」が挙げられます。また、埼玉県秩父市にあるベンチャーウイスキーの「イチローズモルト」も注目されています。かつて、コロナ前には国産ウイスキーのオークション市場での取引価格が高騰し、特に中国からの需要が急増しました。しかし、最近ではその流れが変わり、価格が下落しているのです。
オークション情報サイトによると、山崎18年の平均落札価格は、2022年のピーク時には81万円を超えることもありましたが、2023年1月にはその価格が3割も下落しました。村野さんによれば、国産ウイスキーの人気は2010年以降に高まり、特に2014年のNHKドラマ『マサ』の影響で国内市場でもブームが起こりました。この間、投資目的での購入が増え、価格が押し上げられました。
しかし、コロナからの回復期にあたる現在、価格が再び下落している理由について村野さんは、主に中国経済の停滞が影響していると指摘します。特に、中国からの需要が減少したことで、国内市場にも影響が及んでいます。実際に、山崎12年は昨年4月には3万円を超えていたものの、現在では2万5000円ほどに落ち着いているとのことです。
価格の下落は、ウイスキーを楽しむ一般消費者にとっては朗報です。以前は高価格で手が出しづらかった銘柄が、今では購入しやすくなっています。村野さん自身も、最近高級ウイスキーを試した際、その香りの違いに驚いたと語っています。
今後の国産ウイスキー市場について、村野さんは「高騰していた価格が急落したことで、楽しむために買いに来る人が増えている」と述べています。これにより、国産ウイスキーの新たな時代が訪れる可能性もあるかもしれません。