淀川に「船のエレベーター」 淀川大堰閘門初通航
大阪市に位置する淀川大堰(おおぜき)に新しく設置された船舶用のエレベーターが、16日に初めて通航を果たしました。この新しい施設は、淀川河口から約10キロ上流にあり、42年前に設置された大堰によって途絶えていた京都・伏見と大阪湾を結ぶ航路を再び開通させる重要な役割を果たします。
この船舶用エレベーターは「閘門(こうもん)」と呼ばれ、淀川大堰では令和4年1月に工事が始まりました。閘門は、上流側と下流側に設置されたゲートの間で最大約2メートルの水位差を調節する仕組みになっています。国土交通省近畿地方整備局によると、この閘門は「淀川ゲートウェイ」と名付けられ、国内最大規模のものとされています。
初通航の日には、観光船5隻が上流から閘門に入り、約30分間の水位調節を経て下流へと進みました。これにより、大阪・関西万博の会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)へも船で直接アクセスが可能になります。万博会期中には、大堰下流と夢洲を結ぶ不定期便の運航も計画されています。
さらに、阪急十三駅近くの閘門下流側には、万博会場との不定期便が発着する十三船着場も新たに開業しました。しかし、京都方面から万博会場まで船での移動は約8時間を要し、現時点では京都発着の定期便の運航は予定されていない状況です。
この新たな航路の開通により、大阪市と京都府を結ぶ交通が一層便利になり、多くの観光客や地域住民にとって新たな移動手段が提供されることが期待されます。淀川大堰の閘門は、地域の観光振興や交通網の整備に寄与する重要なプロジェクトとして注目されています。